湊くんの秘密。
「やっぱ…もっかい」
唇と唇が触れ合いそうな至近距離で、湊くんは囁くような声を発した。
あたしが返事をする暇なんてなくて、すぐに口が塞がれる。
もう……耳、壊れる…。
ついでに、心臓も…。
「ごめん、ワガママ言って。
離れたくなくなった」
そんなのあたしだって一緒なんだからね……っ。
そんな可愛いワガママ、いくらでもきくよ。
出かけるときに、玄関まで走ってくる子犬のような顔をした湊くんを階段下に残して、階段を登る。
実はあたしも、もっかいキスしたかった、なんて言ったら
湊くん調子乗りそうだから、やめる。
にしても……っ!
あの囁やき声、頭から離れないんだけど…。