湊くんの秘密。
「あたしはずるいんです…。みゅうくんの素性を知って、付き合いたいって…考えてるんです…」
「…それなら、俺もずるいよ」
「え?」
湊くんは、軽くあたしの頭にポンと手を置いた。
余計にドキドキして、体の熱が頭に集中する。
「俺だって、蘭ちゃんが大翔に夢中だって知ってて声かけた。素性バラしたら、付き合えるかもって思ったから。
職権乱用ってやつだね」
そんな…!
職権乱用なんて。
「本当にあたしが好きなんですか。本当にあたしがいいんですか。それと……彼女なんて作っていいんですか…っ」
そうだ。
相手は売り出し中の人気声優なんだ。
彼女なんて作っていいわけない…。