湊くんの秘密。
「絵麻ちゃんに負けないように頑張る、から……頑張れって、ゆって…」
湊くんの家に行ったときの電車で掴めなかった湊くんの腕。
しっかりしたその腕に、あたしは今触れてる。
「ふふっ、蘭ちゃん。
頑張れ。俺も頑張るから」
優しく微笑まれて、胸がギュンッとなる。
「…っ」
「……大好き」
久しぶりに呼ばれた、“蘭ちゃん”。
それから、あたしにゆっくり近づいて前髪の上からおでこに優しくキスをした。
『大好き』と言われた声が、耳から離れない。
だって、今まで聞いたことない湊くんのの声で。
大翔様でもない、『カルテット』のときの声でもない。
他のアニメのときの声でもない。
だけど、ただ…
甘くて、低くて、溶ろけそうな声だった。