湊くんの秘密。
「前髪が鼻に当たってかゆいんだけど」
「知りませんそんなことは」
「無理無理無理。まじで腕辛いしかゆいから」
「じゃべれてるうちは、まだ大丈夫な証拠でしょう」
ニヤっと笑いながらドヤ顔をした美菜子は、勝ち誇ったように模造紙をチェックしていた。
「よしっ、完璧〜」
そう言った美菜子のが満足気な顔をした途端、湊くんはすぐに腕を下ろした。
ガサガサと音を立てて、模造紙が床に落ちる。
案の定、美菜子はそれを見て怒ってたけど…。
「お疲れ、湊くん」
苦笑いで近づくと、湊くんは優しく笑った。
「心配してくれるのはいつも蘭だけだな」
と、いつものように頭に手を置いた。
「腕大丈夫?」
「ん、まあ。
全然腕の筋肉なんて使わないから明日筋肉痛になってたらどうしような」
あははっと笑う湊くんの腕にあたしは思わず触れた。