湊くんの秘密。
………時間だ。
ステージでしゃべっている司会者が幕を上げる合図をした。
幕が上がったら、ステージに行く。
体育館はかなり騒々しい。
でもそれだけ人が集まってくれたんだ。
今から俺は声優・鈴木湊。
マネージャーに話した件はやっぱり無理だった、そう思って。
俺がステージ上に歩き出そうとしたとき。
肩にポンと手が乗った。
振り向くと、呆れたように笑ったマネージャーで。
「…社長からOKが出た」
「本当ですか…?」
「ああ。やるなら…きちんとやってこいよ」
そっ、か。
そうか。
社長、ありがとうございます。
俺は……やりますよ。
絶対に。
「…よし」
スポットライトが当たるステージに、俺は歩き出した。