湊くんの秘密。



「僕には、守りたい人がいます」



…っ。



涙が出た。



だって湊くんが、こんないっぱいいる人の中からあたしを見つけてくれたから…。



視線が絡み合うと、湊くんはあたしだけにわかるように

優しく微笑んだ。



まるで、『大丈夫だから』って言っているようで。



こんなの…っ、ずるいよ。



「守りたい人を守るために僕はこの場を借りて、お話します」



静かになった体育館は、あたしの泣き声が目立ってしまいそうで。



前に向き直った湊くんは、キレイな声で客席に向かって声を投げかけた。



「この制服は、衣装じゃありません」



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