湊くんの秘密。



「これは声優・鈴木湊としてじゃなく、

この学校の生徒、久遠湊として言います」



名前を言った途端、少し体育館がざわついた。



アイツが声優?

顔隠してただけで実はイケメンだったの?


とでもいうような。



後ろにいる司会者も、驚きを隠せずに突っ立ったまま。



そして湊くんは、よく通る声でこう言った。




「…彼女は俺のです。

俺のことで泣かせるなんて、もう嫌なんです」



やだ、もう…っ。



「俺のことはどんなにバカにしたっていいから、彼女に矛先を向けるのはやめて下さい」



お願いします、と湊くんは深く頭を下げた。



こんな大勢いる中でこの話をしようとするのに、どれだけの勇気がいただろうか。



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