湊くんの秘密。




心配してくれてありがとう。

会いにきてくれるの、楽しみにしてる。



心の中でそう言って、俺はまたシャーペンをノートに走らせた。






***************



問題の週末。

握手会の会場に着いたら、出待ちのファンの子たちに手を振って中に入った。



もしかしたら、蘭ちゃんと黒崎さんがいるかも


とは思ったけど、見る余裕がなかった。



握手会とはいえ、緊張はする。

もっと緊張するのは、アニメのイベント。



「大丈夫か、眉間のしわ、深いぞ」

「あ、大丈夫です…」



マネージャーに顔色を窺われ、パシンッと両頬を叩いた。



俺が緊張してどうする。

ファンの子たちの方がよっぽど緊張してるはず。







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