湊くんの秘密。




「ごめん。また泣かせちゃうけど…」

「……っ」



また嬉し涙が出る、直感的にそう思った。



「…もう、堪えなくていいよ」



史上最強に優しい声で言われて、あたしの涙腺が崩壊した。



校長室なんて誰も来ない。

来てもきっとマネージャーさんだけ。



校長本人は今日は校内を回るって張り切ってたから。


だからあたしは、小さな子供みたにわんわん泣いた。



湊くんは『また泣かせちゃうけど…』って心配してたけど。



これも嬉し涙だから心配なんてしなくたっていいんだよ。



湊くん。

湊くん…。



本当に本当にありがとう。



あたしのことをそんなに大切に思ってくれてありがとう。



もう、大丈夫だよね…?



あたしが泣いている間、湊くんはずっと優しく頭を撫でてくれていた。



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