湊くんの秘密。
〈それでは只今より、握手会の方に移りたいと思います〉
司会者が優しく微笑むと、ステージ横に順番に並ぶよう指示が入った。
応援してます とか
大好きです とか
あのセリフ言って下さい とか
ハイタッチして下さい とか。
たくさんのことを言われたと思う。
蘭ちゃんが来たのは中盤の方で、その後ろには黒崎さんが控えていた。
「この曲、ほんとにほんとに好きです…っ」
「本当ですか?ありがとう」
平静を保ちながら、蘭ちゃんの手を握った。
ちっさくて、柔らかい。
少しだけ声が震えてる蘭ちゃんを見て、笑いそうになったのは内緒。