湊くんの秘密。




「もおやだ…っ。今の絶対忘れて!無かったことにしてっ」

「やだよ」



湊くんは優しく微笑みながら、あたしの頭に手を置いて、顔を上げようとした。



「やだっ、今あたしキモいからやだっ」



ぐっと首に力を入れて、湊くんの力に逆らう。



顔だって真っ赤だし、半泣きだし、今湊くんの顔見たら…大変なことになる。



「俺もやだ。

ね、蘭。 俺のこと見て」



そう言われたけど、フルフルと首を振る。



「ワガママ。 言うこと聞いて」

「……っやだぁ…っ」



湊くん、あたしが今どんなにひどい顔か知らないからそんなこと言えるんだよ…っ。



「……ワガママな蘭ちゃんには罰が必要ってことかな」



言ってることはSなのに、声だけは優しい。


なにそれ。ずるい。



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