湊くんの秘密。




「飴?」

「うんっ。美菜子があたしにくれたやつなんだけどね。あたしも買ったの。

気分が落ち着くので有名なんだって。緊張するお仕事とかあったら…舐めて欲しいな…と思って…」



オーディションとか。

少しでも役に立てたらと…思って。



「まだ欲しかったら言ってね。あ、ていうか、これごとあげる」



飴がいっぱい入った袋を湊くんの前に差し出す。



そしたら、学校で会えたときにいちいち飴を渡さなくても

湊くんが舐めたいに舐められるもんね。



「ありがと。でもこれは蘭が持ってて」

「え?」

「もし俺がオーディションまでに、どん底になって辛くなったら、この飴もらいに行くから。

蘭に会いにいける口実になるでしょ」




そんなこと想像もしたくないけど、と言った湊くんは

あたしのあげた飴を無理矢理、なぜかあたしの口に押し込んだ。



「何でっ?湊くんにあげた飴なのに!」



< 273 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop