湊くんの秘密。
「飴?」
「うんっ。美菜子があたしにくれたやつなんだけどね。あたしも買ったの。
気分が落ち着くので有名なんだって。緊張するお仕事とかあったら…舐めて欲しいな…と思って…」
オーディションとか。
少しでも役に立てたらと…思って。
「まだ欲しかったら言ってね。あ、ていうか、これごとあげる」
飴がいっぱい入った袋を湊くんの前に差し出す。
そしたら、学校で会えたときにいちいち飴を渡さなくても
湊くんが舐めたいに舐められるもんね。
「ありがと。でもこれは蘭が持ってて」
「え?」
「もし俺がオーディションまでに、どん底になって辛くなったら、この飴もらいに行くから。
蘭に会いにいける口実になるでしょ」
そんなこと想像もしたくないけど、と言った湊くんは
あたしのあげた飴を無理矢理、なぜかあたしの口に押し込んだ。
「何でっ?湊くんにあげた飴なのに!」