湊くんの秘密。



何だよ……。

俺は落ち込んでるっていうのにこの人たちは。



慰めてもくんないのかよ。



と、少しだけ拗ねながら

「お電話代わりました。鈴木です」



と、答える。

ていうか、電話の相手くらい教えてくれたっていいじゃん。



「鈴木湊さんですか?」

「あ、はい…そうですが…」

「主役、よろしくお願いしますよ」

「…………」



はっ?

主役…?


なに。主役って。



子機を耳に当てたまま、社長と慶太さんを交互に見る。



「おめでとう湊」



社長にそう言われて、固まった。



「……えっと、主役って、いうのは…」

「先日最終審査をした、映画ですよ」



電話の向こうで話している人が、

最終審査のときに会ったプロデューサーさんの声だと今やっとわかった。



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