湊くんの秘密。
VOICE : 10
手紙
【蘭 side】
お風呂から出たら、ケータイが光ってた。
わ。
電話してくれたのに、出れなかったんだ…。
うわあ、ショック。
これ、掛け直してもいいかな?
湊くん、もしかして寝ちゃったりしてたら悪いよね?
あー…うん、でも、どうしよう。
声…聞きたいよ。
肩にかけたタオルで頭を拭きながら、ケータイの画面をしばらく眺める。
そのとき
パッと画面に浮かび上がった、湊くんの番号。
あたしがケータイを手にしたのは、瞬間的だった。
「もしもしっ?!」
《わ、何だよ、元気いいな。寝てるのかと思った》
「ううんっ、お風呂入ってたの。出れなくてごめんね」
湊くんの声を聞けたことに一安心。
でも湊くんが、2回も連続で電話をしてきたことなんて一回もない。