湊くんの秘密。



今から家を出ると、お母さんに絶対に何か言われるから出られないけど。



出たい気持ちを必死に抑えた。

明日は会える、明日ならちゃんと会える。



《蘭が書いてくれた、

『あたしは応援してないよ。だって湊くん、やるときはやるでしょ?知ってるもん。あたしなんかが応援しなくても、湊くんは出来るって。だから…最後まで頑張って』

ってやつ、本当にありがとう》


「…恥ずかしいから声に出すのやめてよ…」



あたしがオーディション前に、

飴と一緒にあげた手紙を、湊くんは声に出して読んだ。




《あの手紙、これからも絶対に俺に力をくれると思う》

「…それなら…よかった、です…」



さっと書いた手紙なのに、そんなに褒められると、余計に恥ずかしい。



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