湊くんの秘密。



同時に口パクで、『バカ』と言われたのも、理解できた。


それから、ふっと笑われて、あたしの心臓が倍の速さで加速しだした。


……っ。


「じゃ、じゃあっ、行くね…っ」



逃げるように席を立つと、美菜子の元へ行った。


やばい。

あの顔、だめだ。



きっと、苦手なんだ。

湊くんの、優しい顔が。

好きだから、苦しくなる。



「顔あっつ…」

「んー?何か言った?」

「何でもないっ」



両手で顔を覆って、どうにか熱が冷めないものかと考える。


けど、考えれば考えるほど、湊くんが出てきてしまって逆効果だった。



< 46 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop