湊くんの秘密。
同時に口パクで、『バカ』と言われたのも、理解できた。
それから、ふっと笑われて、あたしの心臓が倍の速さで加速しだした。
……っ。
「じゃ、じゃあっ、行くね…っ」
逃げるように席を立つと、美菜子の元へ行った。
やばい。
あの顔、だめだ。
きっと、苦手なんだ。
湊くんの、優しい顔が。
好きだから、苦しくなる。
「顔あっつ…」
「んー?何か言った?」
「何でもないっ」
両手で顔を覆って、どうにか熱が冷めないものかと考える。
けど、考えれば考えるほど、湊くんが出てきてしまって逆効果だった。