湊くんの秘密。
『もっしもぉし』
「あ、ねえ!美菜子おおおお!!」
電話の向こうから聞こえたのは、親友の黒崎美菜子。
「うちのクラスのー…あの前髪がだらーんとしてる、存在感のない奴の名前って何だっけ?」
『え?なに急に』
「いいから至急!!」
見えもしないのに、手足をばたつかせる。
『えー、んー確か、久遠湊(クオン ミナト)だよ』
「み…なと…?」
まさか。
と、背筋がゾワッとした。
『何かあったの?』
「や!とにかくありがとう!ほんとありがとう!」
一方的に電話を切って、ケータイをベッドに放り投げた。