湊くんの秘密。
恥ずかしくて、少し下に視線を落とした。
あーもう。
初めてのキスって、勝手にだけど、もう少し自然にできるものだって思ってた。
自分が、思ってるよりも緊張してることに、少し腹が立つ。
もう少し、うまくできたんじゃ…。
そう思って。
「蘭ちゃん。顔上げて」
優しく湊くんは言ってくれるんだけど、余計に恥ずかしい。
しかも、湊くんの声にいちいち心臓が跳ね上がる。
「も…ちょっと、待って…」
やっとのことで声を発すると、
湊くんはあたしの長めの前髪を片手で開いた。
「…やだ。 待たないよ。
俺、ワガママだから」
下から覗き込むように、キス。
あたしのファーストキスは、少し、強引だった。