湊くんの秘密。
あれ、でも………。
「湊くん、握手会のときのあたしの服なんて、覚えてないでしょ」
あんな、何百人も相手に。
あたしの、たった一人のことなんて、覚えてるはずない。
「えー。それ聞く?」
「聞くよ」
「……ぅーん…。その頃にはもう
蘭ちゃんが好きだったから…、ちゃんと覚えてたよ」
や。
聞くの、間違えた。
公共の場所で聞くのが間違いだった。
顔のニヤニヤ、止まらない…。
湊くん、そんな前からあたしのことみてたの…。
いつから、あたしのこと…。
気になったけど、これ以上追求すると、あたしがもたなくなるからやめた。
いつか、心に余裕が出来たときに聞こう。
そう決めて。
「…、どこ、行くの」
照れながら聞くと、湊くんはサラッとすごいことを言った。