湊くんの秘密。
素直にその好意を受け取ることにする。
「…ありがとう。でも、あたしも一冊買うよ」
「……何で?」
至近距離で、湊くんはあたしを見つめた。
綺麗な整った顔が、あたしの視界に入る。
あー…、いつになったら慣れるの、この顔…。
「自分のお金で買いたい、から」
なんて言ってみたけど、本当は全くの嘘。
だって、湊くんからもらった雑誌なんて、
切り取ってクリアファイルに保存できるわけないもん。
もったいなくて、切り取れないよ。
その雑誌ごとまるまる、取っておきたいんだもん。
乙女の心理ですよ、これは。