*RewindinG*
「はやく兄ちゃん、賞品選びな」
お店の人のその言葉で我に帰り、僕は4等の賞品に目を移した。
4等の景品は正直、微妙なものばっかりだった。
「あ、ねえ空希!これ、これがいいーっ」
涙が僕の服の裾を掴んで指差すのはキラリと眩しく光ったおもちゃの指輪。
「え、でも涙これおもちゃだよ?」
「いいの!私、彼氏に指輪とかもらうの夢だったの!」
僕はその指輪を選んだ。
「本当にこれでよかったの?」
「いいのってばーっ」
移動しながら涙はさっきもらった指輪を自分の指の左手薬指にはめようとする。
「あ、待って待ってっ」
僕のその言葉で涙は手を止めた。
「んー?」
「彼氏の僕にはめさせて下さい」
涙は顔を赤くして俯いた。
そして素直に僕に指輪を手渡した。