*RewindinG*
涙は立ち上がり、僕のベッドに腰掛けて『おいでー』と手をひらひらさせる。

ようは僕が涙の前に座れって事なんだと思う。


「ここに座ってっはやくっ」


床を指差す涙。

僕は少し照れながら涙の前の床に腰を降ろした。

ドライヤーのスイッチを入れて、風を当てながら僕の髪をくしゃくしゃと撫でる。


「どう?気持ちいいー?」

「うん」


撫でられる髪がすごく心地よかった。

こうやって人に髪を乾かしてもらうのって昔母さんにしてもらった以来だな。

そうこうしているうちに髪が乾いた。


「はいっ出来たよっ」

「ありがと」


僕は風のせいでまだ生暖かい自分の髪を少しだけ触った。

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