恋愛ターミナル
「えっ……ここ、で……?」
「……んなかっこ、俺が見せたくないし。でも止めるのも出来ねぇ」
あ……。そうだ。リビングはレースのカーテンしかしてなかった。
こんな状況で、そこまで気がつくってちょっと大人……いや、止められないって辺りは大人ではないのかな……?
平岡さんの首に両手を回したまま、そんなことを思っていると、彼が首筋にひとつキスを落とす。
そしてそのまま、少し乱暴に私の中に入ってきた。
平岡さんとは初めてで、こんなところでされてるのに。
それでも愛しく思う私ってどうなの?
突き上げられる快感に溺れながら、平岡さんの背中に爪を立て、霞む視界に映る彼を見て思った。
失うことに恐怖を感じるよりも、こうして愛を感じることに専念した方が、きっと楽しい人生が待ってるはず。
凛々に言ったように、この気持ちに素直に流されてみよう。
無精ヒゲをそっと両手で包みこんで、ちゅ、と一度キスをした。
「ヒゲでも、汚い作業服でも、平岡さんならなんでもいいです」
――それから。
「別に、一緒に入ればいいんじゃねぇ?」と、飄々という平岡さんを押し切って、別々にシャワーを済ませた。
どうやら私は平岡さん相手だと、今まで出来ていたことも全部、至極緊張するっぽい。
今は完全に太陽も昇って、陽射しが差し込む私の部屋で、二人コーヒーを挟んで向かい合う。
「……私、いろいろあって、結婚に希望が持てないっていうか……人を好きにはなっても、その先のビジョンって、見えたことがないんです」