恋愛ターミナル
*
二次会は披露宴よりも人数が減って、おしゃれで小さなお店を貸し切っての宴会だった。
さっきよりも近い主役の二人に、ひとりで複雑な想いを馳せる。
「あ。みんな! 今日は忙しいのに来てくれてありがとね」
いずみは私たちを見つけると、裕貴さんの腕から手を離し、駆け寄って来た。
「いずみぃ。おめでとうっ」
「ま、いずみならしっかり者だからちゃんと“主婦”出来るんじゃない」
凛々と梓がそろって祝福の言葉を掛ける。
それに笑顔で応えたいずみが、私と目が合うなり口を尖らせる。
「亜美に友人代表やって欲しかったのになぁー」
その依頼は本当だったけど、もう断ったし、今は冗談で文句を言ってるってわかってる。
だって、絶対に無理。
元々緊張しいだし、文才もないし。
それに、あの席でも二人をどんな顔して見ればいいかわからなかった。
それを、高砂の真横で、しかも笑顔で祝辞を読むなんて。
想像しただけで逃げ出したくなって……。
「あ。うそ。冗談よ? そりゃ残念だったけど、こうして参加してくれただけで嬉しいし」
私の顔色を気にしたいずみが慌ててフォローする。
――私、まだ未練があるんだろうか。
それでも言わなきゃ。
今日この日が人生の門出である親友のいずみに、笑顔で「おめでとう」って。
「……あ、いずみ……おめで」
「おお! 亜美ちゃん! 今日は来てくれてサンキュ」
私の言葉を遮って、いずみの後ろから裕貴さんが大きく手を振って来た。
スーツの胸ポケットに差さった花は、いずみの髪に添えられた花とおそろい。
賑わう店内の声が遠くに聞こえて、普段よりも飲んだお酒でぼんやりとした頭で想像する。
――――もし、あの時。私に告白する勇気があったら、今、隣(そこ)にいるのは私だったりしたのかな。
おそろいの紅い花と、ペアのマリッジリングを薬指にはめて。
裕貴さんと私が幸せそうに視線を交錯する、そんな未来に変わってた……?
二次会は披露宴よりも人数が減って、おしゃれで小さなお店を貸し切っての宴会だった。
さっきよりも近い主役の二人に、ひとりで複雑な想いを馳せる。
「あ。みんな! 今日は忙しいのに来てくれてありがとね」
いずみは私たちを見つけると、裕貴さんの腕から手を離し、駆け寄って来た。
「いずみぃ。おめでとうっ」
「ま、いずみならしっかり者だからちゃんと“主婦”出来るんじゃない」
凛々と梓がそろって祝福の言葉を掛ける。
それに笑顔で応えたいずみが、私と目が合うなり口を尖らせる。
「亜美に友人代表やって欲しかったのになぁー」
その依頼は本当だったけど、もう断ったし、今は冗談で文句を言ってるってわかってる。
だって、絶対に無理。
元々緊張しいだし、文才もないし。
それに、あの席でも二人をどんな顔して見ればいいかわからなかった。
それを、高砂の真横で、しかも笑顔で祝辞を読むなんて。
想像しただけで逃げ出したくなって……。
「あ。うそ。冗談よ? そりゃ残念だったけど、こうして参加してくれただけで嬉しいし」
私の顔色を気にしたいずみが慌ててフォローする。
――私、まだ未練があるんだろうか。
それでも言わなきゃ。
今日この日が人生の門出である親友のいずみに、笑顔で「おめでとう」って。
「……あ、いずみ……おめで」
「おお! 亜美ちゃん! 今日は来てくれてサンキュ」
私の言葉を遮って、いずみの後ろから裕貴さんが大きく手を振って来た。
スーツの胸ポケットに差さった花は、いずみの髪に添えられた花とおそろい。
賑わう店内の声が遠くに聞こえて、普段よりも飲んだお酒でぼんやりとした頭で想像する。
――――もし、あの時。私に告白する勇気があったら、今、隣(そこ)にいるのは私だったりしたのかな。
おそろいの紅い花と、ペアのマリッジリングを薬指にはめて。
裕貴さんと私が幸せそうに視線を交錯する、そんな未来に変わってた……?