恋愛ターミナル
だって、私から言えない。
怖いし、恥ずかしいし。それにやっぱり、男の人からそういうことは言って欲しいし。
だけど、徹平の心の中を覗いてみたくて、テレビや友達の結婚話に乗っかって、それとなく探ってみたりは今もしてる。
「……この前のいずみの結婚式。すごい良かったよ。お互いにサプライズ演出とかしてさ」
「へー。そういやおれも同期から結婚式の招待状来てたな」
「……なんかさ。私たち招待状貰ってばっかだよねー」
こんな遠回しな言い方しか出来ない自分。
「まあそんな年齢だもんな。やっぱ25、6って多いんじゃね?」
それを全く察しない男・徹平。
そーいう答えじゃなくて。
そんな一般的に結婚ラッシュの年齢だなんて言われなくてもわかるってーの。
周りの話じゃなくて、私たちの話だよ。
私たちは一体今、どのあたりを歩いているの?
「ごちそうさまでした」
店を出て、一緒に帰る。
隣を歩いて、同じ部屋に帰っていく。
それがもう3年。当たり前になってしまいつつあるのに。
慣れてしまったことによって、“きっかけ”がどんどんとなくなっていくんじゃないの?
私の荷物を持つ徹平の背中を見て、なんだか無性に泣きたくなった。