恋愛ターミナル


「テッペー。朝。朝だよ」


シャッとカーテンを開けて、布団にくるまる徹平を起こす。


「……あと10分」
「それ、何回目?」


さっきから声掛けて、もう3回目くらいなんですけど。


それに痺れを切らして先に起きた私は、コーヒーを淹れる。
湯気が立ちのぼるカップを手に、ソファへ腰を下ろす。
ソファから見える寝室には、微動だにしない徹平の姿。


「はぁ……。仕事しちゃおうかな」


まぁ徹平も仕事で疲れてるだろうしね。まだ朝の9時過ぎだし。もう少しだけ寝かせてあげよう。

熱いコーヒーを胃に流し込むと、ちょっと冷静になれてそんなふうに思ってあげられた。
私はテレビを小さい音でかけると、それを聞きながら教室に飾る動物やお花を作り始めた。

単調作業は、手元を動かしながら別のことを考えられる。
私の頭の中は、今日はなにしようか、ということでいっぱいだ。


ドライブで郊外に出るもいいなぁ。森林浴に行ったり。


色々と妄想していると、つけていたテレビで映画の特集がやっていた。


あ、この映画見たいなぁ。でもまだ公開してないんだー……あれ? そういえば……。


すっくと立って、DMや領収書なんかを入れてある引き出しを開ける。
ごそごそと下の方を探ると、目的のものが見つかった。


「あった! 試写会があたったハガキ! 忘れてたー!」


パラっと裏面を見ると、日付が次の土曜まで……。
次の土曜が、徹平休めるかなんて保障ないし、平日はきっともっと無理だし。ていうか、私が仕事後の映画なんて寝ちゃいそうだし。


これは今日行くしかない!



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