恋愛ターミナル
「ぅおい! どこまでイっちゃってんのー」
「はっ! ななななによ! ちょっと妄想してただけっ」
「やらしーな」
「やらしーってなに! そんなこという徹平のがやらしいっつーの!」
寝癖で少し乱れた感じの徹平は、男の色気みたいなのを出しててドキッとする。
Tシャツの首がだらしなく伸びてるのにもかかわらず、その大きな襟ぐりから覗く鎖骨が色っぽい。
大きなあくびをして頭を掻くと、腰がちらりと見えて、その腰骨すらも目を奪われる。
――はっ。私、本当にヘンタイみたいだ!
自分の無意識な視線に気がついて、慌てて徹平から目を逸らす。
それでも、やっぱり徹平を盗み見してる自分がいる。
キッチンに向かって、水の入ったコップを一気に傾け、喉に流す喉仏。
高校のときって、あんなに“男”を主張するような体じゃなかったよね?
今までなんの心配もしてなかったけど、こいつって案外モテるんじゃ――。
「おい、凛々。行く気あんのか?」
「ぶっ」
ぼふっとスッピンの顔に、今着ていたであろうシャツを投げつけられる。
まだ残る徹平の温もりと、匂い。
「……加齢臭」
「え! マジ?!」
私のくだらないひとことで、慌てふためく徹平が可愛い。
ああ、久々に楽しいなぁ。
外のおひさまのような心地よいぽかぽかとした暖かさが胸に沁みる。
私は穏やかな気持ちで徹平と二人で家をあとにした。