お嬢様の事情その1
四人は林檎の家のテラスでその話を聞いていた。

『そう思ったその後の事は覚えていないわ。』

静香が口を閉じると重々しい空気が流れる。

『良かった・・・。』
『助かって本当に良かった・・・。』
私はそう呟き涙を堪える。

『でも、誰が貴方を助けたの?そして一番不可解なのがその謎の痛み。』

綾美が疑問を投げかける。
綾美はいつだって冷静だ。

『侍従がまだバーベキューの片付けをしていてね。彼が助けを呼んだの。因みに犯人は毒を持った海蛇だったのよ。』

海蛇・・・。と綾美は呟いた。

『海にそんな思い出があるんだもん。そりゃ。行きたくないわよ。』

優がため息交じりにしゅんっとした。

『海に行こうだなんて誘ってしまった私が悪いわ。悪かったわね。』

私は泣きはらした目の静香にそう言った。


静香の事を学校では皆で落ち着かせて帰り道に林檎の家に寄った。

お楽しみのはずが、静香の心をえぐるような事をしてしまった自分が悲しい。

家の送迎で三人を送り、お風呂に入って麻耶に髪を乾かして貰いながらやはり私は静香の事を考えられずにはいられなかった。


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