お嬢様の事情その1
あれから随分と綾美とは距離を置いている。
しかし、相変わらず優や静香とは仲がいいと言える。
今日は学校に併設されているプールで体育の授業があった。
私たち3人は一緒に買いに行った水着を着てとても楽しい気分に浸っていた。
『静香、可愛らしいわ。』
優がキャッキャッとちょっかいを出している。
私も優と同じように2人の水着を褒める。
『私ね、すごくダイエット頑張ったのよ。』
優のその言葉に私と静香は噴き出す。
『『わたしもよー』』
そう言ってまた笑いが起こる。
そんな時、後ろに着替え終わった綾美が出てきた。
また深い沈黙が下りる。
しばらくの沈黙の後綾美は言った。
『随分とお遊びが過ぎる事。嫌ね。』
黒いロングヘアを一つに纏め、鋭い目線を向けて去って行った。
『林檎・・・。』
静香が林檎を見て偉く驚いた顔になる。
私はいつの間にか目の前がぼやけて見えなくなっていた。
頬には雫が伝う。
仕方のない事なんだ。きっと。
でも、堪えきれない何かが溢れてしまったんだと思う。