お嬢様の事情その1

林檎の思索

林檎はベットに入って考えた。
白松は笠原に比べると実に小規模だった。けれど叩き潰せば何千人もの失業者がでる規模だ。

狙われたのは笠原の子会社。
次々と取引先を奪われ、リコールを起こされてんてこ舞いだ。

多額の損失をどううめるか。

資産の売却、新技術の導入、当たり障りのない答えしか思い浮かばない。

元々は取引先が戻れば良いのだ。

そう結論付けると林檎は経営について考えるのは止めた。

白松綾美が結局のところ原因なのだから。

綾美はいつも私に当たり障りのない事を口にしていた。

硬質の笑みに隠された感情が今ではわかる気がする。

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