ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
「…ヒューヒュー♪」
「うるさい、黙っとけお前は。」
そんなことを言って、踵を返すと……。
早足で、彼女の元へと…向かう。
「香澄、どないしたん?」
気色悪い笑顔で彼女と向き合う由良。
見たことのない…やわらかい表情。
ああ、ありゃあ常夏でんな。
余裕あるのは…そのせいや。
「……ええなぁ…。夏やんなぁ…、恋せなもったいないやん。」
ため息は、ますます深まるばかり。
「…あのう、日向さん。」
アンニュイになっている私の元に……
遠慮がちにやって来た、クラスメイト。
「………。な~に~?」
「えっと…、ごめんっ、その…先生からプリント預かってきたからここに置いとくね。」
「……ありがとー……って、……もうおらんし。」
せめて礼くらい言わせておくれ。
アカンなあ…、あちらのチワワと大違いや。
中学時代にソフトボールで鍛えた逞しい肩に、ふくらはぎ。
少々つり上がったデカイ目のせいもあるんか……
今だ、女子生徒は私に近づいて来ない。
前のクラスん時は、ひいちゃんが上手く橋渡ししてくれたから良かったけれど…。
今は、由良に噛み付いていく姿から、『狂犬』なんちゅーあだ名もあるそうで……、
『強肩』に掛けた上手い表現やなあって……、
いや、そうじゃないやろ、しっかりせい、私………。
もらったプリントをめくりあげると。
『夏期講習申し込み要項』。
「………………。」
とにもかくにも、
落ちずには…いられんのですわ。