ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
「…うお…っ!千波ちゃん見事な包丁さばきやな。岡田くんの眼鏡には定規でも装備されとんの?偉い均等に切りはるなぁ…!!」
私は調理場に張り付いて。
仲間の奮闘ぶりに…目を光らす。
「……小夏……。」
「…ん?」
「野菜の切れ端ばっかまな板にあるけど?」
「ちゃうわ、食材細かく切りすぎてん。」
「じゃがいも溶けて舌ざわりがもそもそなるわ。」
アキラは包丁の刃先を私に向けて。
「口先の切れ味だけは抜群やな。邪魔やから米でも研いで炊いててくれんかなぁ……?」
「……あい。」
その場から…追い出されてもーた。
仕方なしにボウルに米を入れて……、炊飯場のすぐ側にある水場へとやって来る。
「…お、……由良や。」
近くを、由良が…行ったり来たり。
頭にタオルを巻いて、手に薪を抱えて……
チョロチョロチョロチョロしてる。
「…おお。細谷くん大活躍やな。」
一方の細谷くんは…
先生と一緒に、ナタを使って…
ひたすら薪わりに勤しんでいた。
「米…、研いだでー。もうここん上に置いてええの?」
「………。お前その鍋に洗剤塗ったんか?」
「あい?」
「洗剤塗らな、焦げがおちなくなる言われたやろ。」
「………?」
「も~…、しゃーないなあ。重いから俺がそっち持つからお前は洗剤とスポンジ借りて早う塗ってくれ。」
きょろっとした大きな目が…、私を見上げる。
「……。なんか、悪いなあ…?ちょい待っといて。」
由良に鍋を預けて…調理場へと、とてとてと走って行く。
「……役立たずな上に…ちゃっかり女扱いされたわ。」
こういう時、奴はちゃあんと…リーダーの気質を発揮するねんなあ…。
しっかりしとるわ。
「……なあ、由良…。」
しゃがみこんで洗剤をぬりぬりしながら…、私は由良を見上げる。
「…手、疲れるやろ。悪いなあ…。」
「……?何で謝んの?気色いわ。てか、オトコやし…こんくらい大したことないし。」
「………。」