ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
皆さん。
あつはなついでんな。
あ、まちごーた。
夏は…暑いでんな。
おーおー……
風流やな。
ホラ……、耳を澄ましてみい?
聞こえるやろ~…、
グラウンドの木々から響く、蝉の声………。
ミーンミンミン……
………………
「……夏やで。」
「…………。」
「お前の季節なんやないんかい。」
「………………。」
「アレやな、こーゆーのを抜け殻言うねんな。夏休み中の鼻タレ小僧に捕獲されとったらええねん。」
「うるさいわ。頼むから耳元でミンミン鳴かんといて。」
私、日向小夏は…
自分の席に顔を伏せて。
力無く…うなだれていた。
隣りには、なんやうるさいセミが一匹。
その名を、由良 秋大(ユラアキヒロ)と言う…。
「………だってな。夏休み返上やで!補習や、補習……!!」
私は奴に、テスト用紙を…ペランと見せ付ける。
期末テスト、
数学…45点。
「……赤点やねん…。まっかかっやねん……。さっきからなあ、真っ赤に燃えた太陽がわろてるねん。」
「ひばりさんかい。…なんや、オマエそんなんで落ち込んどったんかい。しょーもな。」
由良は自分の用紙を…見せ付けてくる。
…………。
嫌味や。
89点て!
「じゅーぶんな理由やろっ。何が楽しゅーて誕生日まで学校来なイカンの!しかも…その日は花火大会だってあるし。皆忙しくて誰も祝ってくれんわ!」
「……。なんや、ホンマに夏生まれなんか。」
「……今さらそこかい。」
「夏女の癖にちっさいなぁ。こんなことでうじうじうじうじ……。もっとド~ンと構え?大輪に花咲く花火のように!」
「空気読めっちゅーねん。『花火』言うなあ…。私だって見たいねん。見たいねんけど…、お相手がおらんね~ん!!誕生日なのにぃ~!」
「……。お前の両親が『夏』に『小さい』をつけた理由がよ~っく解るわ。」
「………。アンタ…可愛ない。」
「お前に可愛いとか言われとうないわ。あ、分けたろか?『可愛いげ』。」
「いらんいらん!」