ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
ひゅうぅぅ……
ド~ン……!!
スパパパ~ン!!
「うお……、今のめっちゃ綺麗やったな、見たか、香澄!」
「………。見たで。」
「夏ゆーたらやっぱコレやなあ……!た~まや~!!」
「…………。」
「……香澄?」
「もっと他に言うことないん?!」
「……え。」
地元の花火大会。
会場である河川敷の出店の前を歩きながら…
お隣りを歩く香澄が、ぶすっとしてる。
「エ。……何?」
どうやら俺は女ゴコロの分からん男らしく……、
近頃、なんや女を怒らせたり、泣かせたり……。
「花火綺麗言う前に、目の前にいる人のこと、ちゃんと見てや!」
「……………。」
何を言わせたいのか。
ここまで言われて…ようやく気づく。
「浴衣…、似合うで。かわいい。」
「……遅いねん。」
いや、ホンマに。可愛いとは思っとったけどな?
わざわざ口にするよーな軽い男とちゃうねん。
「………。……秋大。」
「ん?」
「みんなそれぞれに楽しんでるし、もういいんとちゃう?」
「……へ?」
香澄は、チワワみたいなつぶらな目をキラキラ~…とさせて。
俺の腕を…、ガッチリと掴んだ。
「…………?」
「二人きりなれるとこ…行こか。」
「……え、そやけどまだ金魚すくい…」
「ええから!…行こっ。」
香澄にぐいぐいと引きずられて……、俺は、クラスメイト達の輪から離れていった。