ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
しばらく…歩みを進めて行く。
出店からは…、食べ物のいい匂い。
「香澄、腹へんない?俺、フランクフルト食べたいんやけど……」
「……。いい。ケチャップこぼして浴衣汚したらいややもん。」
……。クリーニングすればええやん、そんなん。
「……そか…、んじゃ俺もいいわ。」
間違って浴衣につけるなんて失態も…俺ならやりそうだしな。
「あっちの石段のとこ…、人少ない。秋大、あそこ座って花火見よ!」
「お~。」
フランクフルトの店を名残惜しく見ていると……、
「「あ。」」
すれ違った見覚えのあるデカイシルエットが……
俺を指さした。
………阪本やん。
「由良。……と…、小林。すごい、この人混みでも会うモンやなあ~!」
……ホンマや。
「あれ。日向さんは?」
………
………ハ………?
「……阪本、日向は?」
「……エ?」
……………。
「お前と一緒やないんか?」
「??俺は中学ん時のダチと一緒やけど。日向さんクラスの連中と一緒に来るって聞いとったし。」
「……ハ?誰から?」
「え。小林……?」
「……はあ?」
香澄、が……?
「え……、だって、秋大言うてたやん。みんなで行くって。」
「…確かにそうだけど……」
アイツは…、誘ってもおらんで?
だってそうやろ、今日はアイツの……
「………。じゃあ…、アイツは今誰とおるん?」
ちょっと前に…ヤツは嘆いとった。
誰も祝ってなどくれんと。
でも……、
違ったやろ。
阪本おるから、大丈夫やって思って………。
「………。アホ…。お前はアホじゃ。」
俺は阪本に詰め寄って…、奴の胸倉を掴む。
ちきしょう、デカいナリしよって。
手が攣りそうやないか!
「何でこんな大事な日に…!!」
「……?なんだよ、訳わからんこと言いおって。」
「………。」
そっか……。あいつ、何も話してないんやな。
で、なかったらコイツかて放っておかんやろ。
「………。アホは……、俺の方、か…。」
手を…離す。
おかしいと気づいていたのに、
ちゃあんと事情も知ってるのに。
話……、聞いてやらんかった。