ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
「あ~も~…、走りづらいわ!」
慣れない浴衣と草履が…
うっとおしく感じた。
もっと……、
もっと速く走れるはずなのに。
野球を辞めて鈍った体は…そう上手いこと動けるハズもない。
背後に打ち上がる…花火。
これが終わるのは……
あと、どんくらい?
できれば、少しでいいから……
一緒に見てやれればええけど。
「……………。あ。」
そこで俺は…、肝心なことに気づく。
「あいつん家…、どこやねん。」
アホ丸出しや。
この方向じゃあ学校に向かうだけやん。
仕方なしに、スマフォを取り出して……
電話を掛ける。
コール音がしばらく鳴って。
思いの他早く……、奴は電話に出た。
『はい。もしも~し。』
「……よお。花火…見てるか?」
『見てるで。やっぱ近いとええな。迫力…あるし。』
確かに、電話越しに…、花火の音。
外に…出とんのか?
「………。楽しいか?」
『……?うん。』
「………。一人でも?」
『…………。なんで。』
「お前今…、一人でおるやろ。」
『……なんで…知っとるんよ。』
「そんなんいーから、そこで待っとけ!てか、今どこや。」
『……公園……。学校の近くの。』
「………。そんなら…、10分!ダッシュで行くから…、帰んなよ!?」
『…………。』
「…充電切れるから切るからな!ええな!」
「ゆ…」
プツっと電話を切って。
俺は……、再び走る。
学校近くの公園て……、
そんな場所で、花火が見えるんか。
ある店を、通過しかけて……。
ぴたり、と、足を止める。
「…………。」