ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
ようやく学校の近くまで辿り着いて。
公園の……一歩手前。
どデカイ花火の音が何発も上がって。
俺は…その方向へと、目をやる。
「ああ………、ラストやん。」
ドンッ……!と一発。
最後に大輪の華を咲かせた花火は。
ゆっくりと…しおれていくかのように…
光を消していった。
「枝垂れ柳…、か。」
花火終了の合図が響き。
賑やかだった夏の夜に……
静寂が、訪れていた。
じゃり、じゃり…と、音を立てて、公園の中へと入って行くと……。
「……何してんねん。」
ジャングルジムのてっぺんに、日向の姿……。
しかも、ちゃっかり浴衣など着てる。
「……おす。」
奴はこっちも見ずに、覇気なく答えた。
手には……、デッカイフランクフルト。
それを、ただ持ったまま……、
綺麗な月夜に。
日向の横顔が…ハッキリと浮かび上がる。
……。いつもと違く見えるのは。浴衣マジックか?
アンニュイなっとるからか、
艶っぽいっちゅーか。
大人っぽいっちゅーか。
いつかも…そんなことがあった。
そや…、蛍見つけた時やったな。
「……綺麗やな。」
しもた。
ポロっと…言うてもうた!
「…………。……花火が?」
「アホ、もう上がってないやろ。」
「ああ、そう……。」
…………。
アカンな。さっぱし言葉が届いとらん。
俺は草履をぽいっと投げて……。
近くの砂場へと、足を踏み入れる。
「「…………。」」
虫の鳴き声が、気まずい空気を…取り払ってくれる。
互いに無言を決めこんで……。
それに、耳を傾けていた。
「………日向~。」
「なに?」
「…ちょいとこっち見てみ~?」
「………。何やねん、もう……。」
日向がこっちを見たタイミングで。
俺は……、
スパ~ン☆…と、クラッカーを鳴らす。
「誕生日、おめでとう。」