ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)




言っとくけどなあ、


手作りなんて…初めてなんやで?




「…ほれ、バースデーケーキ。」




砂で作った無骨なケーキを…指差す。





「…………」


呆気にとられてる…日向。




「はよこっち来い。祝ったるから。」





奴は小さく頷いて、ジャングルジムからひとっとびで…降りてきた。





「……。浴衣着とること忘れてるやろ。」


「……そやな。……由良も浴衣やん。」



「おう。」



「案外似おうてる。」



「…………。」



なんやて。

びっくり発言やな。



「格好ええやん。」



「………!!!」



「………って、お返しやで。さっき、ドキっとさせられたから。」



「……そうか。そら、わざわざおおきに。」




………届いてたんか。







日向は俺の隣りにしゃがみ込んで……



ケーキを指差す。



「昔…よう作ったわ。砂のケーキ。下手っくそやなあ……。」



「俺はデッカイ山は作っとったけど…ケーキは初心者やねん。我慢せい。」


「ろうそくないで?」


「ワガママか、ちょい待ってろ。」



「ジョーダンやん、真に受けて探してくれる気やったん?ええやっちゃなあ……。」



奴は……ケラケラと笑った。



「………。あ!お前……、ケチャップ!!」


大方その存在を忘れていたんやろうけど、


ソレはものの見事に…


日向の右肩と、俺の左肩へとベッタリと付着していた。



「……浴衣…、台なしやな。でも…、」


「「クリーニングに出せばええやん。」」




…………。


つくづく……、男前やな。



「ハンカチあるから拭いたるで。」



日向がそう言って。


手にしたハンドタオルで…、ケチャップを拭きとった。




「暑いし捲ったらええねん。」




奴の二の腕が表わになり、かの有名な強肩も…チラリ。



「…………。」



言うほど…逞しくないやん。


俺よか…華奢。




「……何で食べんの?」



「………。祭っていったらフランクフルトやろ?だから、コンビニで買ってきたんやけど……。」


「けど?」


「一人じゃあ祭ん時みたいにおいしく感じないんやろなあって思て。それに…、素直に見とれとった。……花火に。」



「……。ふ~ん……。」





< 96 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop