ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)
とにかく…、普通にせなアカン。
「……お待たせ、じゃじゃ~ん♪」
「ぉお…!花火や~ん!」
こんな時……、コイツが単純な女で助かるわ。
日向は目を輝かせ、花火を…受け取る。
「…って、何で線香花火オンリー?」
「ええやん、なんでも。花火…、一緒に見よう思たけど、間に合わなそうやったし、しゃーないからそれ一緒にしようかなって。」
「そうなんや。やろやろ~!……て、……火は?」
「ちゃんとライター買うてきたで。めっちゃ店員さんに睨まれたけど。」
「そうやろなぁ…。中坊の火遊びかと思われたんやろな。」
「せやからな、店の外にいた知らんおっちゃん指さしてこう言うてやったわ。『おとんに買って来い言われましたぁ』って。」
「……アハハっ!ホンマかいな。ちょっ…ウケるなあ、ソレ。ちびっこネタ炸裂やん。」
「…………。」
ええ顔でわろてんな。
やっぱ俺は…、こいつんとこ…こーして笑わかしてたい。
あほあほ言いながら、そんでも……一緒にいたい。
今にして思えば……、
あん時の苛立ちの理由、こんなにハッキリしとるやんけ。
「ほれ、火ぃつけてみ。」
左手で風除けして…ライターの火をつける。
「ちびっちゃいホストやな。」
「うるさいな。」
線香花火は……細い火花を、雨を降らすかのようにして…
落としていく。
さっきまできゃんきゃんしていた日向も、借りてきた猫…、いや、犬のようにして。
ちょこんとおとなしゅーしている。
「綺麗やなあ。」
「……。そやな。」
やがて。
パチパチと音を立てて……、
派手に火花が散る。
花火の先が、ゆらゆらと揺れて。
火の玉が……重たそうにしてる。
「なんで線香花火好きって知っとんの?」
そんなの…、知らんちゅーねん。
「……なんとなく。」
「なんや、偶然かいな。まあウチら結構好み似てたりするもんなあ?」
「………。…そうかー?」
「野球やろ、それにさっきだって。フランクフルト…」
そこまで言って。奴は…押し黙った。
「……。顔……、赤いで?」