ココロクスリ
監禁が始まって
少したつ頃から
喧嘩をすると
誠は私を殴るようになった。
殴る理由は様々だったけど,特別悪い事をした覚えもない事ばかりだった。
例えば…
―ため息をついたから―
―目をそらしたから―
―テレビを見て芸能人の男の場面で笑顔になったから―
そんな理由で誠は怒りそして私を殴り,私は泣いて謝るしかなかった―
殴った後,誠は決まって泣いた。
土下座をしたり
キツく抱きしめたりどうにか許しを請うように必死に務め,
それを見た私も
誠は私を愛してるから
殴るんだと
思うようになり許した。
殴られる度に
愛されてると
感じ始めて
殴られた後は
誠に体を委ねるよぅになり,
ますます私達は狂っていった。
そんな日々が,
いつまでも続くわけもないのに,
私達は必死でお互いをつなぎ止めるよぅに一緒に居た。
その間にも,私のココロは大きな穴をあけていった。
―埋まらない―