ココロクスリ
SCAR
ある日,誠と一緒にパチンコ屋に行き2人でパチンコをしていた。
誠はパチンコに行くと,他のものは一切目に入らなくなる人だったからその時ばかりは誠の監視から逃れる事が出来た。
私は誠から少し離れた台を打っていた。
「ちぃ?」
ふと、後から声をかけられて振り返ると真由さんが居た。
「ちぃ…その顔なに?痣だらけやん…」
毎日のように殴られていたので私の顔やら体には無数の痣があったのだろう。
私は特に気にしていなかったので
そのまま
出歩いてたけど
今思うと,
傍目から見れば
痛々しい姿だったんだろう。
「誠にされたん?」
『うん…ちぃが悪いから誠は辛いのに殴っちゃうんよ』
「そんなん間違ってるやん!最近,連絡もとれんし学校も来てないし、あんた何してるん?」
『ちぃは誠と居れたらいいんやもん。ほっといてよ!』
「…ちぃは依存の仕方を履き違えてるよ。そんなんじゃ2人ともダメになるだけやで…」
「ちぃ?もし何かあっても私はちぃの味方やで?忘れんといてな。いつでもいいし連絡ちょうだい。」
そう言い残して真由さんは去って行った。
私は,頭を殴られたみたいな感覚になり誠との事を思い返していた。
誠は優しかった。
誠は一緒に居てくれた。
誠は私を愛してくれた。
誠は―――――。
考えれば考える程,誠に対する気持ちは自分が思ってるよりも大きくて真由さんが間違ってるんだと思うようにした。
あの頃の私に
誠から離れる勇気なんかなかったし,
そんな事すら
頭に浮かばないほど深みにいたんだろう。
1度狂いだした歯車は,二度と戻らないのに…