ココロクスリ

foolish


ありったけの服や身の回りの物をカバンに詰めたけど旅行カバンに簡単に収まるほど私の荷物は少なかった。

妹から手紙をもらい電車に乗る時、見送りに来た家族を見たら思いも寄らず涙が溢れた。


―あぁ寂しいんだ―

欠陥した私の心が少し満たされた気持ちになった。

同じように涙を流してくれる家族を見たら素直にそう思えた。

少しづつ小さくなる家族をいつまでも見つめながら新しく始まる生活に期待をしつつ目を閉じた。

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