ココロクスリ
「質問はこれで終わりなんやけど…個人的に1つ質問してもいい?」
ここまで来るのはわりと簡単だけどこの先が難しい。
相手がOKを出せば、
「○○君って声聞いてたら若い感じするけど何歳なん?」
相手の年齢なんか資料を見れば分かるのだが警戒心をなくさせ仲良くなる為の第1歩なのだ。
相手が答えたら大げさにワザとらしく
「え~!!マジで?私○○歳やねん!!めっちゃ年近いなぁ!!実はね、今日は朝からバイトの子が休んでしまって今日だけ私もバイトの子に混ざって代わりにアンケートの電話してたんやけど誰も聞いてくれんしさぁ、繋がってもメッチャおっちゃんとかおばちゃんとかで何言うてるんか分からんかってさぁ。ちゃんと聞いてくれたの○○君が初めてやわ!!ありがとう!!でな、今度の展示会に私も初めて行くねんけどこんな初めて話して盛り上がれる人もなかなかおらんし展示会がうまくいったら私そっちに転勤になるかもやねんな。けど知らん人ばっかりだったら不安やから○○君が良ければ私の友達1号になってくれへん?」
と、こうくるのだ。
向こうは男だし、こんな風に言われて断る人もあんまり居なかった。
まぁ、どの道
―いいよ―
と、向こうに言わせるまで粘るんだけど。
そうなれば、
「そっちに行くの△日~△日[金土日月]までやねんけど○○君の都合の合う日っていつ?」
と、話をつめて会う日を決める。
後は、お互いの携帯を交換すれば
アポが成立する。
アポが取れたら1件につき5千円。
日時は未定だけど携帯を交換したらペンとよばれペンは1件につき千円くれる制度になっていた。
顔合わせした次の日、私は育成係のヨウジくんにアポの取り方や電話掛けを1日かけて教えられた。
早く覚えないといけなかったのは次の出張まで1週間もなかったからだ。