ココロクスリ

けど怒鳴りつけてしまった手前、態度をコロッと変える事も出来ずに黙ってアイスティを飲みため息をついた。

すると、驚いた顔をしてたタクミがポツリポツリと話し始めた。


自分は親から叱られた事がないこと。

みんなが自分をどう思ってるか分かってること。

だけど素直になれなくて強がりますます本音で話せなくなったこと。

以前にもテレアポで出会い出てきた女の子にヤラせてと言ったらヤラせてくれたこと。

その女の子から絵を買ってクーリングしたこと。

今、私に叱られておかしいけど嬉しいこと。

少しずつだけどタクミなりに一生懸命話してくれた。

私はずっと頷きながら黙って話を聞いていた。

あぁ。昔の自分と同じだなぁって思いながらヒデさんの言葉を思い出していた。

―サブは自分の鏡なんだよ―


そう思うとタクミがすごく近い人の気がして素直に腹を割って話そうって思えた。

タクミに自分も昔そんな性格だったんだよ、と伝えるとタクミは驚いてたけどこんな時はこうだったとか話すうちな二人して共感しあってクスクス笑った。

こんなに腹を割って話した後に宝石をすすめるなんて気になれなかったけど仕事だと自分に言い聞かせてタクミにフロントトークをした。

タクミは私の話を聞いてどう思うんだろう。
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