ココロクスリ

タクミと別れて会場に戻るとヒデさんがお茶しに行こうと誘ってくれた。

タクミとのデモを興奮気味に話す私を優しく微笑みながら聞いてくれるヒデさんに私は小さな恋心を抱いてる自分に気付いた。

おかしいもので意識しだすと急に二人きりの状況に恥ずかしくなりモジモジしたりストローをくるくる回したり落ち着きがなくなる。

『良かったね』

ヒデさんがそう言ってくれたからまた頑張れる気がした。

真由さんもこの日120万円のハイパケをあげていた事を知って嬉しくなった。

職能と言って1回のトリップで200万を超えたら給料にプラス3万、500万を超えたら5万つく。

ヒデさんに教えてもらい自分の給料が楽しみになった。

祖父母に仕送りが出来ると喜んだらヒデさんは良い子だね、可愛いと言ってくれた。

真由さんにヒデさんが気になるとメールしてホテルの部屋で少し横になってると真由さんからメールがきた。

『分かる!ヒデさんかっこいいもんな☆頑張って!夜這いかけな♪』

ニヤニヤしながらメールを読む自分がキモかったけど誠の事で二度と恋はしないと誓った気持ちが膨らむ想いを制御していた。

誠の名前を思い出すだけで苦しくて悲しい沈んだ気分になった。

持ってきたMDを取り出しイヤホンをつけて音量を最大にして目を閉じた。

悲しい曲ばかり入ったMDは不思議と気分を落ち着かせてくれた。

< 64 / 102 >

この作品をシェア

pagetop