【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
ふたりの間に、しばらくの沈黙が落ちる。
そして静寂の空間に、翼の声が響いた。
「……クリスマスデート、無しになったのちょーーーーーーーー最悪」
「……、えっ?」
「去年のクリスマスもふたりでバイト入ってデート出来なかったのに、今年もとか」
「…………」
「普段だって、学校違うからなかなか会えないし」
「…………」
「バイトのシフトだって、平日1日しか重なんないし」
「…………」
「声聞きたくて電話しても、美喜寝てるし」
「うっ……それは、ごめん」
「……美喜にさみしいって、言わせてあげることも出来ないし」
「……え……」
いや……それは違うと。
単に、私が意地っ張りで素直じゃないからだと。
「……変な男に捕まってないかなとか、彼氏のくせに自信ないし」
「…………」
「美喜と同じ学校のやつはいいなーって、余計なヤキモチばっか妬くし」
「…………」
「そのくせ美喜の前では余裕ぶって、カッコつけてるし」
「え、そうだったの?」
「……そうです」
少しトーンの低い、翼の拗ねた声が鼓膜をくすぐる。
……なんなの、この生き物。
可愛すぎると思う。