【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


「えっ、怒ってる?」


「……ものすごく」


「えぇっ!?ごめん!」



『そんなに抱き締められるの嫌だった?』と、 捨てられた子犬のような表情で聞いてくる翼。


……カワイイ。

垂れた耳と尻尾が見えますよ、お兄さん。


ふうっと息を吐いて、抱き締められてからいま だ騒がしい胸を落ち着かせる。


……驚いたのは、いきなりだったから。


こんなにもドキドキうるさいのは、ひさしぶり すぎて翼への免疫がすっかり無くなったから。


怒ってるのは、すぐに翼が抱き締めるのをやめ たから。


女の子っていうのは、思ってることと反対のこ とを言ってしまうものなんだよ?



「……ものたんない」


「へっ?」


「苦しいって言っても、やめないで。もっとぎ ゅっとして」



美喜さんは、絶賛翼不足なんですよ、翼くん。


両腕を広げて、じっと翼からのハグを待つ。


けれど、しばらく固まったように動かなかった 翼が、次に取った行動はハグなんかじゃなくて 。



「……美喜ごめん。この前、美喜用のまかないのプリン、俺が食べた」



私の肩に顔を埋めて、そんな爆弾を耳元で投下 してくれた。



< 148 / 200 >

この作品をシェア

pagetop