【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「えっ、怒ってる?」
「……ものすごく」
「えぇっ!?ごめん!」
『そんなに抱き締められるの嫌だった?』と、 捨てられた子犬のような表情で聞いてくる翼。
……カワイイ。
垂れた耳と尻尾が見えますよ、お兄さん。
ふうっと息を吐いて、抱き締められてからいま だ騒がしい胸を落ち着かせる。
……驚いたのは、いきなりだったから。
こんなにもドキドキうるさいのは、ひさしぶり すぎて翼への免疫がすっかり無くなったから。
怒ってるのは、すぐに翼が抱き締めるのをやめ たから。
女の子っていうのは、思ってることと反対のこ とを言ってしまうものなんだよ?
「……ものたんない」
「へっ?」
「苦しいって言っても、やめないで。もっとぎ ゅっとして」
美喜さんは、絶賛翼不足なんですよ、翼くん。
両腕を広げて、じっと翼からのハグを待つ。
けれど、しばらく固まったように動かなかった 翼が、次に取った行動はハグなんかじゃなくて 。
「……美喜ごめん。この前、美喜用のまかないのプリン、俺が食べた」
私の肩に顔を埋めて、そんな爆弾を耳元で投下 してくれた。