【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「……なによ、さっきから受験生受験生って……っ!もういい、要くんなんか嫌い!大っ嫌い!!」
「あっちょ、先輩!」
背を向けた私の腕を掴む要くんの手を振り払い、一目散に駆け出した。
知らない知らない。要くんの大馬鹿野郎ーッ!!
目からは堪えていた涙が一気に溢れ出す。
頭の中はぐちゃぐちゃで、冷静に考えることもできなくて。
ごった返す人の群れを、無理矢理にこじ開けて突き進んでいく。
息苦しい。呼吸が上手くいかない。
私は私なのに、どうして……。
心臓が埋まってしまいそうだ。
「……!あ、ご、ごめんなさい」
何も考えずただがむしゃらに走っていたからか。
周りに気を回す余裕も無かったようで、右肩に走った衝撃でハッと我に返った。
慌てて謝罪の言葉を口にし、こちらを睨み付ける男の人を見上げる。
「いってぇな。こんな人混みで走ってんじゃねぇよ」
「す、すみません……」
「たくほんっと最悪だわ。これだから最近のチャラチャラしてる奴等は」
『何のために目付いてんだよ』最後にそう吐き捨てると、男の人は雑踏に消えていった。