マイ フレンド
戸野は嬉しそうに服を選ぶ。
いいのがあると、俺のところに見せにくる。


「どうですか?似合います?」

持ってくるのは、おばあちゃんが来ているセーターみたいのに、派手なスカート。


「……ある意味…似合う。でも、せっかく買うんだから、もっと自分の似合うのにしなよ。」

「似合うの…」




結局、一着しか買わなかった。
花柄のワンピース。

残念な顔の戸野。





そして、戸野のおすすめだと言う、喫茶店のテラスで一休み。

戸野のおごりのケーキをほうばり言った。

「優柔不断なんだよ。」

「だって分かんないから…オシャレとか…」

「お前は、オシャレにほど遠いの。好きなの買えばいーんだよ。」


「今度からそうします…」

「はい。お願いします。」



「でもよかった。…小和田くんと来れて。」

「俺はヤダよ…お前とカップルに思われてると思うと、ゾッとする。」

怖い顔をする戸野がおかしくて笑う。

「嘘嘘!…冗談!」


このときばかりは、慎也のことを忘れられた。

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