マイ フレンド

家族

どうしよう…

それしか頭に浮かんでこない。
誰の声も入ってこない。
わたしは車から降りた。

「戸野!…大丈夫?」


小和田くんに、心配かけないように少し笑って、家の玄関を開けた。


義理母の怒鳴る声。

「なんで、あんたはそうゆうこと言うのよ!!」

涙をすする音も聞こえた。

リビングのドアを開けた。


中は、辺り一面にゴミが散らばっていたり、皿が割れてたり、真ん中にはお義母さんが泣き崩れていて、テーブルに座って睨んでいる義理の兄がいた。

「さっちゃん!!」

そう叫んで来たのは、まだ5歳の義弟の千陽(チハル)くん。
泣きながら、しがみついてきた。
わたしは、そっと抱き締めた。

「なんだ、帰ってきたのか…」

義理の兄がわたしを見る。
ゾクッとした。

「俺、出かけてくるわ。こんなやつと同じ空気吸いたくねぇ…」

そう言って、わたしの横を通り過ぎた。


玄関の閉まる音。

< 70 / 205 >

この作品をシェア

pagetop